西木正明『間諜ー二葉亭四迷ー』を読んだ感想文
長谷川幸一の私生活をストーカーしたいな~~どんな生活してたのかな~~フィーナさんってどういう階級のお嬢さんだったんだろう……とか考えながらAmazonで19世紀のウラジオストクについての本を探していたら見つけた本、『間諜 二葉亭四迷』
間諜、間諜だって。明治のインテリが革命に関わったりなんだりするお話。しかも二葉亭四迷の本名が長谷川。これはもしや何かあるのでは……みたいな気持ちになり買った。600円だった。安い。
何年何月に何があってというのをちゃんと書いてくれてるので中学生でも知っているようなことを知らなくてもなんか読めるのがとってもありがたい。
内容は、『熱源』のブロニスワフ・ピウスーツキの部分に二葉亭四迷を加えたような感じ。時代的には日露戦争前後。この前読んだ石光真清の手記第2巻『曠野の花』の後半の内容も少し入っていたので、あ!進研ゼミでやったとこだ!!となった。まあどうせゴカム関係ないんだろうなって思って読み始めたのに超関係あった。嬉しい。
ピウスーツキはポーランド人の民族学者。学生の頃学友とロシア皇帝爆殺を企て樺太に流刑になり、樺太アイヌの女性と結婚した。
詳細は省くが読んでいるうちにこのピウスーツキはウイルクのモデルなのかなと思い始めた。とりあえずTwitterで検索したら同じことを言っている人がいたのでやっぱりモデルの可能性あるな……という気になった。
私は大好きなつるみちゃんを泣かせたウイルクのことは許してないんだけど(許すとかないよ)敵を知る所から始めましょうみたいな気持ちはあるので、ポーランドの独立運動は鶴見必修科目に含まれるのかもしれないと思った。いや鶴見だけで何科目あるの?多いよ。
ともかく、当時の樺太はロシアが囚人をいっぱい送り込んでいたので、ウイルクの父は樺太送りにされた政治犯なんだろう。ポーランド独立を目指して活動していてロシアの秘密警察に捕まったとかきっとそんな感じ。樺太に送られた流刑入植民は男女比が9:1なので入植民の欧州人男性が先住民族女性と子供を設けるということが多々あったらしい。とはいえ、刑期を終えて自由の身になるやいなや妻子を棄てて消えてしまうともあった。つまり、ウイルクの父は妻子を棄てて逃げてしまったかもしれない。あるいは逆に教育に力を注ぎ息子を革命家に育てたのかもしれない。
ちょっと、色々ごちゃごちゃしすぎてわかんなくなりそうだった。いろんな勢力のいろんな思惑が渦巻いてて、それを理解し利用し勝たなきゃいけないんだから革命も戦争も大変だよなと思った。もういいよ!知らん!ってぶん投げたくなったりしないのかな。鶴見中尉殿スゴーイ。土方さんもすごいよ。革命をやるにも戦争をやるにもいろんなコネと教養と人脈と人望と……ほんとにほんとに多くの能力が必要とされるんだね。石光真清の手記を読んでたときも思ったが、戦争をやります、そのリーダーをひとりでつとめます、計画の全貌を知ってるのは自分だけです、みたいな状態で始めるもんじゃないよ、戦争。だからきっと鶴見中尉殿にはまだ語られていない大きな勢力との繋がりがあるんでしょう。無いなら政権転覆とか無理だよ。諦めて隠居してお団子でも食べてて。
鶴見と何かとの繋がり。師団のみなさんは知らない。みたいなの、どきどきする。
結局、頭が悪いので読んだってわからんなというところに落ち着く。立派な考察がしたいがそれをするには全く及ばない。知らないことばっかり。でも前頭葉損傷に関する脳神経科学とかよりはまだ道が見えるのでまたつるみちゃんストーカー活動のためになんか読んだりしたい。具体的には長谷川幸一の私生活を覗きたい。
とりあえず、ピウスーツキ周辺のことや、日露開戦前の陸軍の諜報活動についての話を読めてよかった。まあウイルクが何者であってもつるみちゃんを泣かせたので絶対許さないけど。『熱源』を別の角度から見られて面白かった。